風の中のクレオ”のような

何十年も前にさかのぼりますが、私が中学二〜三年生くらいの頃、少女向けの雑誌に「風の中のクレオ」という連載ものがありました。
哀愁を帯びた美しい少年・・現実にはこんなに素敵な人いるわけないのに少女雑誌に出てくる美少年“クレオ”に恋をしたものでした。

高校に入学して間もなく私は少女雑誌に出てくるクレオにそっくりの素敵な先輩に出会いました。
もの哀しい目で見つめられると、もう切なくなって胸が痛むのです。彼、(クレオと書かせてください)が通り過ぎると他の女子校生も「ハンサムねえ〜」と目がハートマークになっていました。まさに雲の上の人でした。
そのクレオが、休み時間になると友人がいるらしく私の教室の廊下にやってきて窓から教室を覗き込むのです。私の存在なんて気がついてもらえない、そう思っていたのですが・・でも、ふとクレオの方をみると目が合うのです。そして、とっても悲しそうな目をしているのです。
そんなバカな!クレオが私を見つめるわけが無い、あぁ勘違い。否定あるのみでした。
だけどネ、偶然廊下でばったり出会った時、彼は一瞬私をじっと見つめるのです。その熱く哀しげな眼差しで見つめられると私はもう何とも切なくなってしまうのです。

えぇ・・・?でもどうして・・?自分の顔を鏡に映して・・あの素敵なクレオが休み時間にわざわざ見に来てもらえるだけのものを持ちそなえていないのです。

首をかしげつつも 幾度と無く彼と目だけの会話を交わしたような気がします。
二学期に入ってからだったと思いますが、廊下でクレオとすれ違った時クレオが友人に「似てるね」と耳打ちをしました。その友人も私をみてうなずいていたような気がします。でもその頃からクレオは廊下にあまり来てくれなくなっていました。そして、以前のような眼差しで私を見ることも少なくなっていました。

ある日の午後、教室の窓から校庭に目をやると、そこにクレオの姿がありました。
クレオは前方からきた先輩の女子校生をじっと見つめているようにみえました。そしてその方もクレオの視線に気がついて二人とも一瞬立ち止まり見つめあい、互いにはっとしたのか言葉も交わさずその場から離れていきました。“あぁクレオは彼女が好きなんだ・・彼女も・・”

二学期も終わりに近づいた頃、クレオのことをよく知っている先輩(友人のお姉さん)と話す機会がありました。クレオは過去に友人のガールフレンドを好きになったことがあるそうです。でも気の毒にその方は病気で亡くなってしまったそうです。彼、クレオはその時男泣きし「僕はもう彼女以外の人は絶対好きにならない」と・・。

私はその亡くなったガールフレンドによく似ているそうです。哀しそうな眼差しで私をみつめてくれたのは亡きガールフレンドを偲んでいたんですね。

先輩は更に、クレオに新しいガールフレンドがいることも教えてくれました。

あれから、何十年が過ぎました。あの切ないまでに美しかった先輩・クレオはどうしているんでしょうか。“風の中のクレオ”のような・・目と目があっただけの私のことなんか・・憶えていたら奇跡に近いですよ
ね。